Abasse(アバス)
[ 顔写真 ]
EDANが最初に銀を託した職人です。いまも、EDANの作品の多くがアバスの手から生まれています。何か迷うことがあればまず相談するのも彼で、職人たちの中心にいて、静かに全体を支えています。
アバスはニジェールの生まれで、幼い頃から、師であるラシッド(Racid)のもとで銀を学びました。彫りの技も、仕事への向き合い方も、そのすべてをラシッドの手から受け継いでいます。
[ 彫っている手元の写真 ]
彫るための鏨は、自分でつくります。鉄を削り、自分の手に馴染むかたちに整えていく、その道具から彼の銀は生まれます。
アバスの彫りは、太く力強いものです。きっちりと左右対称というわけではなく、手の気配がそのまま残ります。けれど、彼が集中してつくりあげたものには、はっとさせられることがあります。整いすぎていないからこそ、そこにはひとつだけの表情が宿っています。
師や目上の人を深く敬う人でもあります。ラシッドがニジェールから移り住んできたとき、アバスは自分の家を師に明け渡し、自分自身はつい最近まで、敷地のなかの庭のような場所で、若者たちとともに眠っていました。屋根のある家に住むようになったのは、ようやく最近のことです。
工房は、首都ワガドゥグにある国営の土産物店の一角にあります。師のラシッドも同じ工房で銀を彫り、磨きを専門に担う同じトゥアレグ族の職人や、弟子たちもいます。つねに五、六人が出入りし、それぞれに手を動かしています。
[ 工房や暮らしの写真 ]
家族は、ニジェールにいます。妻は看護師として働きながら、子どもたちと暮らしています。アバスはひとりブルキナファソで銀を彫り、年に三度、家族のもとへ帰ります。
いつも穏やかで、優しい人です。
Moustapha(ムスタファ)
[ 顔写真 ]
ニジェールの生まれです。アバスより年上、ラシッドより年下で、三人のちょうどあいだにあたります。
工房は、首都ワガドゥグにある国営の土産物店の一角にあります。ここには多くの店や工房が軒を連ね、ムスタファもそのひとつを束ねる長として、数人の職人とともに手を動かしています。アバスの工房も、同じ土産物店のなかにあります。
[ 彫っている手元の写真 ]
彫りは、濃く、細い線を得意とします。きっちりと左右対称ではなく、線のひとつひとつに、手のゆらぎがそのまま残ります。その微かな揺れが、かえって生き生きとした表情になり、見ていて楽しくなる文様が生まれます。
物静かで、控えめな人です。あまり強くものを言わず、自分を前に出すこともしません。その人柄が、力を張らない彫りの気配に、そのまま表れているようにも思います。
最年長のラシッドとは、年が近いこともあり、いちばんの友です。何かあれば、ふたりでお茶を飲み、静かに話し込みます。
[ 工房や暮らしの写真 ]
家族は、奥さんと、ふたりのお子さん。ここブルキナファソで、ともに暮らしています。
言葉は少なく、そのぶん、彫りが多くを語る人です。
Racid(ラシッド)
[ 顔写真 ]
いまEDANが銀を頼んでいる職人のなかで、最年長の人です。そして、アバスに銀の作り方を教えた、師でもあります。
工房を束ねるのはアバスですが、そのアバスの技も、もとをたどればラシッドの手から受け継がれたものです。弟子たちの技の、さらに源にいる人だと言えます。
ラシッドはニジェールの生まれです。かつてアバスに誘われ、ニジェールからブルキナファソへ移ってきました。
[ 彫っている手元の写真 ]
アバスいわく、ラシッドはどんなトゥアレグシルバーでも、見ればすぐに作り方が分かるといいます。込み入ったかたち、難しい細工でも、つくり上げてしまう。長い年月をかけて磨かれた、確かな技を持つ職人です。
彫りは濃く、細やかです。細かな細工を得意とし、その手から、繊細な文様が生まれます。
その技は、国の外にも知られています。これまでマリ、チャド、ベナンといった国々の展示会に、作品を携えて出たこともあります。遠くまで渡っていく銀を彫りながら、ふだんいる場所は、変わらずこの工房の片隅です。
工房は、首都ワガドゥグにある国営の土産物店の一角にあります。ラシッドはここで銀を彫り、磨きを専門に担う同じトゥアレグ族の職人や、弟子たちもいます。つねに五、六人が出入りし、それぞれに手を動かしています。工房を束ねるのはアバスですが、その師として、みなに敬われています。
ムスタファとは年が近く、いちばんの仲良しです。何かあれば、ふたりでお茶を飲み、相談し合う間柄です。
[ 工房や暮らしの写真 ]
家族は、奥さんと、ふたりのお子さん。アバスと同じ敷地のなかで、ともに暮らしています。
多くを見て、多くを知る。それでいて、少しも気負いのない人です。静かにみなを見て、言葉より先に、背中で技を伝えていく。そんな職人です。